はい、こんなことをやってる場合じゃない齋木です。
仕事やらイベントやら自分のこと、家族のことやらでもうてんてこ舞いです。人生で過去イチくらい忙しいです(笑
こういうのは独り言なので別に誰に読んでほしいわけじゃないんですが、1人でも気づいてくれる人がいればいいなーと思うことを書きます。
書いて吐き出さないとものすごいストレスで…。
ただ思ってることを書き散らしていく。
サラッと読み飛ばしてもらえば OK(およそ22,000文字を読み飛ばせる人だけ
いろんなところでいろんな意見や考えを見聞きして、僕も色々思うところがあったので、また例によってチラ裏です。
ちょっと雑に極端な書き方をするかもしれませんが、僕は僕に正直でありたいと思うので、正直に書きます。
もちろん、なるべく表現と気持ちは抑えて、冷静に。
書いたからと言って誰か特定の人を名指ししたり貶めようとは思っていません。
ただ、僕とは違う考え方なんだなと思うだけです。
とはいえ、それがなんでおかしいのか、どうするのがいいのかを理解して改めてほしいとは思います。
そう思ってもらうためには、まずそのひとがなんでそうなのかを僕も理解する必要があります。
そして、その人にも伝わる形で説明して、理解してほしいと思います。
結局、コミュニケーションを取らないことにはなにも始まらないし、ただ拒絶や否定するだけではなにも始まらないので。
なので、違う話からします(なんで?
あなたは新車を買いに行きました
僕は昔バイク屋で働いていたので、そっち方面(どっち)の話からしようと思う。
まぁバイク乗ってる人は少ないだろうから、車の話で。
これを読んでいるあなたは、新たに新車を買おうとしているとしよう。ウェブでインプレッションを読んだり、メーカーのカタログページを読んで想像してみたり、期待に胸を膨らませている。
だいたいどんなものでも買う前が一番楽しいと相場が決まっている(笑
で、ディーラーへ行っていろいろ話を聞いて、メカニズムとか詳しいことはよくわからないけど、営業さんが勧めてくる「今ならこれが使いやすくていいですよ!」って車を買うことにした、としよう。
家族とあちこち行きたいから荷物がたくさん詰めるやつで、営業さんが勧めるからオプションも付けて、いざ納車された、としよう。
そしていよいよ納車されて、知り合いのちょっと車に詳しい知人に見せびらかしに行ったら「オイこれの中身って、もう古くて開発が終わってるパーツだらけだよ?」って言われたらどうします?
あなたは車のディーラーの営業マンです
じゃあ今度は逆の立場の話を。
お客さんが新車を買いに来たとしよう。新車で、って言われたら「新車」を売るだろう。新車というからには新古車でもないしもちろん旧型じゃない。
仮に新古車なら「オトクな新古車がありますよ」って言うだろうし、中古なら「状態めっちゃいい中古車ですよ」って言うだろうし、仮に旧車があったとして、旧車だからもちろんちょっと見ただけでわかるだろうけど、でも「これは車体は古いけど部品はほぼ交換済みの新品なので新車同然ですよ」って言うだろう。当たり前だ。
まちがっても「これは新車です」とは言わない。
だってそれ新車じゃないから。
新車じゃないものを新車と偽って売ったら詐欺だから。
車とかバイクの世界では酔狂な人たちがいて、旧車を全部一度バラバラにして、交換できるパーツは全部交換して、外観も機関もピカピカの新車同然に仕上げて乗る人達もたくさんいる。
そういうのを「レストア」といって、それは新車同然かもしれないが、間違ってもそれは「新車」ではない。
新車じゃないものを「新車」と言って売ることはない。
売ってたらそこはビックリモーター(
先輩デザイナーからこのツールを勧められました
ちょっと近づいてきた(笑
あなたはデザイナーだとしよう。スクールでデザインを勉強し、デザイン事務所に入社することができた。
そこに先輩デザイナーがいて、まずその事務所で必要なツールを聞いているとしよう。
そこでその先輩デザイナーから「FireWorks が便利だしずーっとこれ使ってるから、君もこれ使おう!」って笑顔で言われたらどうだろう。
「はぁ?」って思わないだろうか。
だって Adobe の FireWorks はもうとっくに使えなくなっているし、なんなら新しいパソコンじゃインストールすらできない。
僕もウェブ制作の仕事を始めて最初に FireWorks を使ったときは「おお、すごい!!」と思った。それまで Photoshop と Illustrator しか触ったことがなかったので、「さすがウェブ用に作られたツールはちがうな!」と思った。とにかく動作が軽くてスライスしやすかった(笑
でも今は令和だよ…。
まぁさすがに FireWorks を使っていることはないだろうが、では「XD が便利だからこれ使おう!!」ってにっこりされたらどうだろう?
XD はもちろんめちゃくちゃ便利だし、僕だっていまでも普通に使っている。だけど「これから覚えよう」というときに、つい先日とはいえ開発終了がアナウンスされたツールを使えといわれたらどう思うだろうか。
開発終了になったことを知らなければ仕方ない。先輩が勧めるし、触ってみたらものすごく便利だから使うのはわかる。もしかしたらスクールでも XD でデザインしていて、「XD ならわかる!」となって喜んでいるかもしれない。
でもいま「Adobe XD」って検索すると候補に「Adobe XD 終了」って出てくるんですよ…。
もしそれを知ってたらどう感じるだろうか。
先輩に「あのー、XD ってもう開発終わっちゃうんじゃ…?」って聞かないだろうか。聞くよね、知ってたら。
なんでウェブだとそういうのがいっぱいあるんだろう
いや、主語デカいな(笑
やり直し。
なんで WordPress だとそういうのがいっぱいあるんだろう
まだ主語デカいけど、ようやく本題だ(笑
XD に恨みは全く無いので(笑)引き合いに出してしまって申し訳ないのだけれど、残念ながら XD の開発が終了するのは決定してしまったようだ。
いま XD を使っている人が、明日から全部ほかのデザインツールに乗り換えられるのかといえばそれは無理だろう。
だが、いま XD を使っていて「開発終了」のことを知らない人はいないのではないだろうか。
当然のことだが、自分の商売道具だからに他ならない。
今すぐ乗り換えるのは無理だとしても、この先どうしよう、やっぱ figma がいいのかな、どれを使おうかなってことは全員が考えているはずだ。
じゃあさ。
じゃあ、WordPress のクラシックエディターは開発終了しました、いつかは使えなくなります、とアナウンスされてから相当時間が経っているのに使い続ける理由はなに?
あ、これ以降の話はすべて「WordPress でサイト制作しているウェブ制作者」を対象にしていることをお断りしておく。
あーそれからもうひとつ。
なんかいろんなところで混同されてるのを見るから、ちょっと最初に整理しておく。
「ブロックテーマ」と「ブロックエディター」、「クラシックテーマ」と「クラシックエディター」は違うものですからね?
まぁこの名前が(命名が?)混乱の一つの要因になってる気はするが、「テーマ」は「テーマ」だし、「エディター」は「エディター」ですよ。
細かい解説はしないが、ちょっと表で説明する。
ブロックテーマ | クラシックテーマ | |
---|---|---|
ヘッダー、フッターなどを含めたサイトのコンテンツすべてをブロックで構成し編集するテーマ テーマファイルはほぼ HTML ファイルで構成される | サイトのコンテンツエリア部分をエディターで編集するテーマ(旧来の「いわゆる」テーマ) テーマファイルはほぼ PHP ファイルで構成される | |
サイトエディター | ブロックエディター | クラシックエディター |
サイトのコンテンツすべてがエディター内のブロックで編集できる、「ブロックエディターの拡張版」のようなもの | 入力内容が決まっている様々な種類のブロックを組んで、その順列組み合わせでページのコンテンツ部分のレイアウトやコンテンツを編集する | Word のような編集画面で、ドキュメントを作るようなイメージでページのコンテンツ部分を編集する |
上記の表での上2段が「テーマ」の説明、下2段が「エディター」の説明で、それぞれ表の上下で対応している。
ものすごくざっくりした説明しかしていないが、だいたいこういうもんだと思っておけば間違いじゃない。
つまり、この表にあるようにブロックエディターもクラシックエディターも、対応しているテーマは「クラシックテーマ」だ。
そして、「ブロックテーマ」と「サイトエディター」の組み合わせは WordPress 6.2 で「ベータ」が外れたフルサイトエディティング(FSE)と呼ばれるものだが、ここでは触れない。でも、最新の環境はこれですよ。みんな見ないふりをしているかもだけど(笑
こんなふうに複雑なことになってしまったのは、WordPress がもう20年も使われ続けていて、それに伴って(表でいうと右から左方向に)開発が進められていながら「後方互換」を大事にしているからだ。いきなり「もう明日から使えません」としてしまったら、いま運用中の膨大なサイトに影響が出るからに他ならない。
閑話休題。
なんの話だったっけ?(笑
そうそう、WordPress のクラシックエディターは開発終了してて使えなくなります、とアナウンスされてるのに使い続ける理由はなんですか、ということだった。
さっきの表でいうと、「クラシックテーマで使えるのはブロックエディターだけになる」ということだ。だから、ここでの主な話題は下2段のうち太字にした「ブロックエディター」と「クラシックエディター」の話になる。
これは前述したように、いま運用している途中のサイトならまだわかる。
クライアントの都合もあるだろうし、今すぐブロックエディターに乗り換えましょうと言っても首を縦に振ってくれないことだってあるだろう。
本当はそれだって「ではいつリニューアルしましょうか、予定を立てて来期の予算を確保しましょう」って言うのが正直な制作者だろう。
それはまだ事情がわかるとしてだ。
「いま作っている」「これから納品する」サイトをクラシックエディターで作る理由は?
クライアントから言われたから?
馬鹿なことを言っちゃいけない。それを止めるのが正直な制作者なのでは?
もしかしたらそのほうがいいケースというのがあるのかもしれない。でも、そのときにクライアントに「これはもう開発が終わっているので、そんなに遠くない将来に作り直す必要がありますよ」って言ってるんですよね?
ブロックエディターなんか使いにくいからクラシックエディターでサイトを作ってる?
ちょっと待って。
それって自分用のサイトですか?あれ?納品してるんですよね?
それ、クライアントは知ってるんですか?
これはもう開発が終了した技術です、でも私はこれが使いやすいと思っているのでこれで作りました、ってことですよね?
クライアントはクラシックエディターとブロックエディターの両方をそれぞれ色々操作してみた上でクラシックエディターがいいって言いましたか?
まさか黙って開発が終わった技術で「新しいサイトできました」って納品してる訳じゃないですよね、まさか!
それってなにか間違ってませんか?
あなたがクラシックエディターの方が使いやすいと思うのはあなたの自由だ。誰にも止められないし、止めるべきものでもない。
でも、クライアントに「これはもう開発が終了しています」って伝えてますか?クライアントは「ああ、開発終了しててもこっちがいいですよ」って言いましたか?新しく作ってもらったサイトが開発終了した技術で出来てることにクライアントは喜んでましたか?
それ、クライアントは知ってますか?
それ、なにか誤魔化してませんか?
クライアントに納品するとき、きっと使い方を説明するだろう。そのときに全部説明しているんだろう、「これはもうすぐ使えなくなる技術で作りました」って。
それでクライアントからお金いただくんですよね?
クライアントはあなたに感謝してお金払ってるんですよね?
さて、あなたは正直な制作者ですか?
クラシックエディターだけじゃない WordPress の闇
Twitter って、じゃなくて X って、なのか。
わかりにくくてツラいから(笑)、このブログでは旧 Twitter で通そうかな(笑
旧 Twitter を見てるといろんな意見があって面白いし興味深い。
テンプレートベタ書きにしてないとクライアントが書き換えちゃうし、Git で管理出来ないから、っていう投稿があった。
これは「エディター」の話じゃなくて「テーマ」の話。
いやいや、クライアントがウェブの知識に疎くても書き換えできるのが CMS なんじゃないですか?
なんでわざわざ書き換えできないようにしてるんだろう?
それって大きなお世話なんではないだろうか。クライアントが「勝手に書き換えできないようにしてほしい」って依頼してきたんですか?
クラシックエディターでは、確かにクライアントが操作して HTML 構造がぐちゃぐちゃになってしまい、結果としてページの表示が崩れる、ということはあった。
実際僕だってそうやって作ってたんだからもちろんそれは知ってる。僕も経験したことだ。
それなら、いまのブロックエディターでは HTML の大枠の構造を変えずにコンテンツの中身だけ書き換えができるってご存じなんですよね?それでも敢えて書き換えできないベタ書きしてるんですね?
ブロックを使えば大きく構造が壊れないし、クライアント自身がブロックを使って自由にページを作れます、ってことを知っているうえでテンプレートにベタ書きしているんですよね?
お客さんにそうやって説明してるんですよね?
Git っていいますが、クライアントが Git 使ってるんですか?クライアントがプルリク作ってマージしてるんですか?
そんなにクライアントが Git を使いこなせるんだったらきっと HTML も CSS も、当然 Markdown 記法も余裕なので、WordPress じゃなくて Git からデプロイできる SSG って技術もあるんで、その方がよくないですか?
プルリク作ってマージできるなら、デプロイなんかすぐですよ。
クライアントが Git を使ってないのに「Git で管理出来ないからエディターに入れるべき内容をベタ書きしている」っていうのはあなたの都合ってことでいいですか?
それってクライアントのためのサイト制作じゃなくて、「あなたが稼ぎやすい方法でクライアントにサイトを作ってる」だけですよね?
WordPress の編集画面に「リビジョン」ていう機能があるのをご存知ではない?
ちなみに僕は、というか僕の会社ではソースは Git 管理していて、かつコンテンツは全部ブロックエディターで作っているが困ったことはない。
だってデータベースのバックアップ取ってるもん。
エディターの中に入力したコンテンツは全部データベースに保存されるんですよね?WordPress の仕組みはご存知?
クライアントにウェブサイト納品したのにバックアップの設定もしてないの?
あんなにあちこちに「いざというときのためにバックアップは必須です」って書いてあるのに?
クライアントが「これがいい」というならそれが一番いいだろうし、それを優先するのはいいことだ。クライアントが判断したのなら、そこはクライアントに責任を持ってもらうべきところだろう。
でも、「公式ドキュメントにはベタ書きしちゃダメって書いてないから」って、それは違う。それはそもそも CMS にする意味がないし、そんなに公式ドキュメントを読み込んでるなら、他のところに書いてある大事なことは全部読み飛ばした、っていう理解でいいですか?
10年前、僕がウェブ制作の仕事を始めた頃は、確かにみんなそうやって作っていた。実際僕もそうやって作っていた。
が、それから仕事をしていくに連れ、そして色々調べていくうちに「これは良くない書き方だ」というのが徐々にわかってきた。
例えば「ベタ書きしたコンテンツはサイト内検索に出ない」とかはいい例だと思う。
WordPress のデフォルトで用意されている「サイト内検索」は「コンテンツエリアに入力されているものだけ検索」している。だから、テンプレートに直接書かれた部分は検索されない。ちなみに、これはあくまでもデフォルトの「サイト内検索」のことで、検索エンジンによるクロールとは別の話だ。
WordPress の一覧ページのテンプレートに編集画面がないことはこれでその理屈がよくわかる。つまり、一覧ページに表示される内容は「記事ページにコンテンツがあるから別途検索させる必要がない」からだ。理にかなっている。
また、キャッシュプラグインの効果が出ないなんていう別の悪影響もある。
もちろん、サイト内検索がないサイトや、キャッシュプラグインを使っていないサイトだってあるだろう。
使ってないから使えなくていい、という意見もあるだろう。
だが、その機能をあとからいつでも追加できるように作られてるのが WordPress なんでは?
納品するときに「この機能は使えません」ってちゃんと伝えてるのだろうか?
例えば、僕も10年くらい前はグローバルナビゲーションをテンプレートにベタ書きしていた。そのほうがクラスとか ID とか自由につけて操作とかスタイリングしやすいと思っていたから。
でも、よくよく考えたら、クライアントがページを追加したときにナビゲーションにも新しいページへのリンクを追加できるのは当たり前なのではないだろうか。
クライアントはページの追加なんかしない?
それはクライアントを舐めてないだろうか。どれだけクライアントをバカにした発言をしてるか気づいてない?
「ページを新たに追加しない」なら、なんでそのサイトを WordPress で作ったんだろう。
それなら素の HTML で作った方が安く出来てクライアントのためになるんじゃないだろうか?
クライアントが新たなページを自分で追加して、次にナビゲーションにもそのリンクを追加したいとなったとき、あなたはどうするんだろう。「あーやりますよ、5,000円で」とか言うのだろうか?
「お知らせは新たに追加できますけど、固定ページはできません、編集が必要ならお金払って」って、それ WordPress 使う必要なくない?
それ、CMS の意味がありますか?
わざわざベタ書きするってことは、PHP で出力する動的なコードをテンプレートに直接書けばそれがコンテンツ部分に出るからいいってこと?
ちょっと何言ってるか分からないです(笑
それならショートコードは作れますよね?
ブロックの中に「ショートコードブロック」ってのがあるの知ってます?
ショートコードを自分で作って、プラグイン化して読み込ませればいいんじゃない?
ショートコードは WordPress のごく初期の頃からある技術なので、使ったことがある人は多いだろう。
プラグインを追加したら独自のショートコードが使えるようになって、それをエディターの中に埋め込んだらプラグインの機能が出力される、なんていうプラグインはたくさんある。
そのショートコードをブロックエディターに埋め込める「ショートコードブロック」を使えば、自分で作った動的な出力のショートコードを編集画面に埋め込めるじゃないか。
WordPress のブロックエディターは「Wysiwyg」を(100%ではないにせよ、近い形で)実現できるエディターだが、残念ながらショートコードブロックは編集画面上では展開されないのでショートコードのままだ。プレビューしなければどのように表示されているか確認できない。それでも、以前からの技術を知っていれば充分ブロックエディターに対応できるじゃないか。
動的な出力をちゃんとエディターの中に埋め込めるじゃないか。
クライアントが自由に表示順を入れ替えたり別のページにも追加できたりするじゃないか。
なんでコンテンツを編集画面に入れないでテンプレートにベタ書きしなきゃいけないんだ。
もしかして知らないの?
さて、ここで質問だ。
あなたは正直な制作者ですか?
WordPress は簡単じゃない
「WordPress は簡単にウェブサイトが作れるツールだ」と言われるようになって久しい。いまではそんなこともないだろうが、一時期は本当に猫も杓子も「WordPress でサイトを」だった。
ただ、「WordPress は簡単にウェブサイトが作れるツール」というのは、少なくとも今となっては半分本当で半分間違いだと思っている。
WordPress は「使うのは簡単」だけれど「作るのは難しい」ツールだと思う。
これについては色々な意見がありそうだが、少なくとも僕はそう感じている。
というか、これはきっと「作るのは簡単じゃなかった」のだ、最初から。それを僕も含めた初心者・不勉強な制作者が「WordPress が想定していない作り方」で「自分の都合のいいように」使っていただけなのだ。
もちろん、ツールをどう使おうが使う人の勝手だ。自由に使えばいい。
だが、それでお金を稼ぐのなら話は違う。
元々設定されている機能を活かしながらクライアントが使いやすいようにカスタマイズしていく、それが「プロの仕事」だろう。ツールが使いにくい、気に食わないというのならば使わなければいいだけ。ただのツールなんだから。
なぜそんな気に食わないツールを使って「お客さんからお金を稼ごう」とするんだろう。
もっと自分の作り方にあったツールを使えばいいのに。
僕がバイク屋で働いていたとき、そこの社長はめちゃくちゃおっかない人で、工具を大事にしないと文字どおりぶっ飛ばされた(笑)。工具にはその工具に合った適切な利用目的があって、それとは違う使い方をしているとめちゃくちゃドヤされた。なんならその車種のその部品に使うためだけの「専用工具」なんていうものもザラにある。
「そんな使い方してネジをダメにして、それが原因で事故起こしたらオマエその責任取れんのか!お客さんには家族だって生活だってあるのに、それを全部責任取れるのか!」と怒られた。
でもそれは正論で、目的にあった正しい工具を使わないとバイクを傷つけてしまったり、本当に事故の原因になってしまったりする。
ガキの僕はそんな責任取れないと思ったから、それから工具もネジも大事にするようになった。工具はよほどの特殊工具でない限り自腹で揃えたけど、それは今でも事務所の壁にたくさん下がっていて、事務所のオブジェになっている(笑
その「教え」は今の仕事になっても同様だ。考え方は通じていると思う。
きっと、「古い」作り方しか知らなかったという人もいるはずだ。
最初にその作り方で教わって、この仕事を初めてまだ1〜2年だと言うなら致し方ないこともあるだろう。
だが、それなりにウェブ制作のキャリアを積んできて、何年も WordPress でウェブサイトを作ってきたのであれば、少なくとも「ブロックエディター」という言葉に触れたことがないはずはないし、「クラシックエディターの開発は終了している」ということは知っているはずだ。
ベタ書きするよりは、レイアウトが崩れないならコンテンツに入っていて編集できるようになっていたほうがいいことくらい気づいてるでしょ?
それを無視して作り続けるのはウェブ制作者としてどうなんだろう。
他にも、「デザイナーだから技術のことは…」って言い訳をしていないだろうか?
別にこれはデザイナーだから、というだけでなく、もちろん技術者だって同じだ。
確かに10年前であれば「技術に疎いデザイナーでも PHP をコピペしてプラグインを追加すれば複雑なサイトが簡単に作れる!」と言われていた。
それは事実だ。
だが、10年も経てば子供だって大きくもなるし WordPress だって別物になる。事実、今の WordPress のブロックをイチから作ろうと思ったら JavaScript の知識は必須だ。エディターは React 製だ。僕は React のことを全然わかっていないので、ヒーヒー言いながら見様見真似で書きながら勉強している。
デザイナーが、というわけではなく、いま WordPress を触ろうと思ったら HTML、CSS、PHP、JavaScript の知識は必須だし、もちろんデータベースやサーバーのことも100%ではないにせよわかっていなくてはいけない。
もう時代が違うんだから。
こんなに進歩の早いウェブの世界にいて、なんでその作り方だけ旧態依然としてるの?
でも WordPress 自体が PHP で書かれているのは変わっていない。新しくて便利な関数もたくさんできているけれど、古い関数だって推奨はされないが動作する。
その後方互換性があるから昔作ったサイトでもそのまま動かせるし動いている。
だから、これまでどおり PHP でループを書いてそれを出力する「理屈」は変わらない。
これまでの知識だって活かせるところはたくさんある。WordPress が全く別物になったわけじゃないんだから。
正直に言って、僕がなんでもできるわけがない。残念ながら100%できるものだってない。まぁ当然だ。それぞれをうっすらわかっている程度だ。
それでもクライアントにサイトを納品するんだから、昨日書いたコードより今日書くコードのほうが良いコードだと思って書いている。昨日より今日のほうが、今日より明日のほうが良いコードが書けるように勉強している。
古い仕様のコードのままお客さんへ納品しているのは、自分が時代遅れになってしまったことをただ認めたくないだけなのでは?
だが、それはあなたにサイト制作を依頼したお客さんにはなんの関係もないことなのではないだろうか?
お客さんは「プロに頼んだ」って思ってるんだから。
お客さんはコードは見ないで出来上がったフロント側で判断するだろう。「うわー綺麗ですね、素敵なサイトをありがとうございます!」クライアントは感謝の言葉を述べてくれるだろう。中のコードのことは知らないから。中がどう動いているか、専門家ではないから。
でもいつか気づく。「メニューの項目ひとつ足したいだけでなんで毎回頼まなきゃいけなくて、毎回お金払わなきゃいけないの?WordPress ってク◯なの?」
さて、あなたは正直な制作者ですか?
オープンソースのソフトウェアを使うということ
先日、WordPress のフォームプラグイン「MW WP Form」のメンテナンスについて、作者のキタジマさんから「Web の相談所」が引き継ぐ、というアナウンスがあった。
そのあと「Web の相談所」のモトハチさんからもアナウンスがあった。そこでは「メンテはするが一般ユーザー以外は移行を」と案内されている。が、「個人で開発しているプラグインはその人の都合で開発が終了するからダメだ」という意見を見かけた。
あなたは「MW WP Form」にいくら払って使ってたんですか?まさかタダで使ってたなんてことはないですよね?
制作者に感謝こそすれ、なんでダメだなんて言えるんだろう。開発が止まることなんて別に個人じゃなくたってあるだろう。クラシックエディターがいい例じゃないか。「もっといいものができたからそっちを使おう、だから古いのはもう開発しないので使わないでね」のなにがおかしい?なにがダメなの?
なんか僕、おかしなこと言ってます?
しかも WordPress はもちろん、WordPress のテーマもプラグインも配布する場合は公開する義務があるから、「MW WP Form」のソースコードだって全部公開されている。
公開されていることを知らなくたって、WordPress の管理画面からタダでダウンロードできて、ローカルに落とせばソースコードを全部見られるよね?
自分でメンテナンスすればいいんじゃないの?
GitHub にも公開されているからフォークすればいいんじゃないの?
自分にその技術がないならスポンサーになったっていいんじゃないの?
なんでフリーライドすることしかアタマにないの?
そこへ持ってきてなんで「ダメ」とか言えるの?
逆に聞きたいけど、じゃあなんでオープンソースのソフトウェア使ってるの?オープンソースのソフトウェアを使う時にその保証をするのは「あなた自身」だってことも知らずに使ってたの?
あなたが今の仕事をしているのは「あなたの都合」じゃないの?誰かに命令されてやってるの?
じゃああなたがいまのこの仕事をやめたとき、クライアントは「個人で作ってもらったサイトはその人の都合で開発が終了するからダメだ」って言うよね?
さて、それでもあなたは正直な制作者ですか?
正直な制作者であるために
いま、「WordPress ブロックエディター」と検索したら情報はゴマンと出てくる。実際はゴマンじゃなくて約227,000件だったけど(笑
いまはちょうどシステムの移行中でうまく日本語のページが表示されないことがあるかもしれないが、公式のドキュメントも充実している。英語の公式ドキュメントだって Google 翻訳なり DeepL なり使えばすぐ読めるだろう。
これだけ情報がたくさんある状況で、知らないでは済まされないのではないだろうか。だってあなたは「プロ」で、それでメシ食ってるんでしょ?
この状況でそれを知ろうとしないのは制作者の怠慢か、ただの自分の都合だろう。他になにかあります?
だって、お客さんは新車買いに来てんじゃん。
新車って言うからには最新のものでしょ。
新車の中身が開発終わってるパーツだったらお客さん怒るでしょ?
操作できるはずのレバーが固定されてたら怒るでしょ?
窓を上げ下げするのにいちいちディーラーに持ち込まなきゃいけなかったら、それで毎回工賃取られたら怒るでしょ?
それをお客さんが知らないことをいいことに黙って納品してるんでしょ?
それってずるくない?
制作者が新しい手法や技術を勉強しないのは怠慢以外になんの理由が?
ウェブ制作者で、それでご飯食べてるんでしょ?
僕の例を挙げるまでもなく、ウェブの知識を100%すべて得ることは無理だろう。ウェブの最新技術を全部を知っているわけじゃないし、知っていてもせいぜいちょっと触ったことがあるくらいだ。もしかしたら僕の知らない間にものすごく進化していることだって全然ありうる。
もちろん、僕はウェブのごく一部のことしか知らない。僕は普段から WordPress のことばかりしているので、それでも敢えて言うならば WordPress のことが一番詳しいだろう。
WordPress のことだってまだなんにもわかっちゃいないけれど、僕は「知ろう」とはしている。
これで飯食ってるんで。
WordPress を使ったウェブ制作をメインの仕事とするのであれば、WordPress の専門家になろうよ。
WordPress の専門家になろうとするなら、まずは自分の商売道具についてよく知ろうよ。
それ以外の専門家なら、あるいはそれ以外の専門家を目指すなら、WordPress の専門家にお金を払って頼もうよ。
いまの WordPress は片手間でできるようなものではない。
ただコピペだけしてできるものではない。
とはいえ、さっき「使うのは簡単だけれど作るのは難しい」と書いたけれど、「ただ作るだけ」であればブロックを使って本当に簡単に作れるようになった。
それをデザインに合わせてスタイルを充てたり、コアのブロックにないブロックをプラグインから追加したり、必要なら自分で作る、エンジニアに頼んで作ってもらう、などすることでお客さんの望むオリジナルのサイトが出来上がる。そこにプロの知識と経験が活きるんじゃないか。
「自分で作る」部分がなければ、ブロックエディターのほうが作るのはラクになると思っているのだが、どうだろう?
極端な言い方をすればブロックを組んでいく「だけ」ですよ?
どうしても複雑な構造で、ブロックを作る以外に解決方法がないのを別としたら、管理画面から設定して CSS 書くだけで素敵なサイトができますよ?
だっていまの WordPress はそうやって作られてるんだから。
沢山の有志の人たちの開発の努力があってそういうふうに進化してきたんだから。
それがオープンソースなんでしょ?
誰だって新しいことを始めるのは大変だし面倒だろう。いままで別の手法でできていたことを改めて、またイチからやり直すなんてこと、できるなら僕だってしたくない。
でも、今までの知識や経験が無駄になることなんてひとつもない。理屈が分かってたらゴールはイメージできるんだから、全くの初心者より全然ラクに対応できるはずだ。
そもそもウェブなんてあっという間に技術が廃れていくじゃないですか。もうそれはウェブのことを仕事としてやっている以上仕方ない。
最初の表の解説のところでちょっと説明したが、ここで主に解説した「クラシックテーマ+ブロックエディター」でさえ、実際には既に「最新の」環境ではない。
事実、WordPress 本体や主だったプラグインはどんどん「ブロックテーマ+サイトエディター」を主眼に開発されつつある。「クラシックテーマはもう使わないでください、一応猶予期間は設けるけど、新しく作るサイトは全部ブロックテーマで作ってね」という未来がすぐそこまで来ているのは間違いない。
ブロックテーマ+サイトエディターが開発の主眼になったからと言っても、ブロックエディターの開発が終わってしまったわけではない。サイトエディターとブロックエディターは密接に関連しているから、ブロックエディターも今後まだまだ並行して開発が進んでいく。だからサイトエディターに手を出す前にブロックエディターに慣れておくことは、今後も WordPress を使い続けるためにとても有効だろう。
その意味でもできるだけ早くブロックエディターでの開発に慣れておいたほうがいい、というのが僕の考えだ。
そこで「あーやっぱり WordPress はダメだな、ほかのツールにしよう」と思うのはあなたの自由だ。誰も止められるものではない。
選ぶのはあなた自身だ。
ほかのツールの専門家になったとしても、WordPress を使っていたときの知見は活きるはずだ。
WordPress でサイトを作るのは、思っているほど簡単じゃない。
特に、以前の作り方を知っている人ほどそれに固執していて(無意識でも)ブロックエディターに苦手意識があるように思う。
簡単じゃないなら、わからないなら情報を持ってる人に聞くのが手っ取り早いし確実じゃない?
WordPress はコミュニティ主導で Meetup とか世界中でたくさんやってるのを知らない?
WordPress のダッシュボード見てないの?
毎日見てるんじゃないの?
なんでわざわざ WordPress のダッシュボードにこんな Meetup の情報出してるんだと思う?
意味ない情報をわざわざダッシュボードに表示する理由はなに?意味があるから最初から表示するようにしてるんでしょ?
近所での開催がなくても、ちょっと調べればオンラインでの Meetup だってあるでしょ?
ここでは基本的に無料で WordPress の情報を共有したり聞いたりできるんだけど。
誰かに聞くのが嫌なの?
コミュニティの好き嫌いは個人によって違うから、そこを強制する気は全くない。
でも、勉強しようと思ったら何かで調べるか聞くかだろう。
WordPress の詳しい情報が知りたくて、以前の情報から最新の情報まで網羅したいとなったら、詳しい誰かに聞くのが最短距離じゃない?
でも「詳しい」のと「長くやってる」のとは等しくない。
古い知識をアップデートしない人に聞いても参考にならないから。
自分のやってることをもっと詳しく知りたい、って思わないのかな。
僕は10年以上 WordPress に触れてるけど、まだまだ知らないことがたくさんあるし、新しいこともどんどんでてくるし、それらを知りたいと思うんだけど。
知らないことを知ることができるのって嬉しいことじゃないの?
できなかったことができるようになるのって嬉しいことじゃないの?
僕は全ての Meetup に参加したことがあるわけではないが、少なくとも主催している人たちは「自己流で」作っている人はいないだろう。
主催している人たちだって、日々勉強している。どんな立場になっても勉強は終わらない。
でも知ってることだったら誰かに共有できるし、新しいことを知ることは自分の成長なんじゃないの?
経験は短くたって、最先端のことをやってる人たちだって世の中にはたくさんいるじゃないか。その姿勢を真似ようよ。
新しければなんでも良いというわけでもないけれど、作っている人たちが「もう使わないで」っていうのを無視して古いもので量産し続けているのは論外じゃない?
それって当たり前なんじゃないの?
なんでそれが普通のことにならないの?
知らないことはちっとも恥ずかしいことじゃない。ことわざで「知るはいっときの恥、知らぬは一生の恥」と言うではないか。
確かに聞いた時には「なんだそんなことも知らないの」って言われるかもしれない。そりゃあ恥ずかしく思うかもしれないが、知らないままお客さんに納品してしまう方がよほど恥ずかしくはないだろうか?
そして、知ってて黙ってるのはズルでしょ。
見て見ぬふりするのはズルでしょ。
それでご飯食べててプライドとかないの?
自分のプライド守るために必死で勉強するんでしょ。僕のプライドなんてク◯みたいなもんだし、まだまだ大したことなんか出来はしない。世間にはもっとデキる人はゴマンといるが、それでも僕だってご飯を食べていかなきゃならない。だから必死で勉強するんでしょ?
後から入った若い人にどんどん抜かれるけど、それでも勉強するんだ。負けたくないし、こっちだって生活がかかってるんだから。
好きだし、負けたくないし、僕だってプロの端くれだから。
お客さんや仲間の期待に応えたいから。
だから僕は正直な営業マンが好き。
そしてまだある
また別の旧 Twitter を見ちゃったので。
おーい、いつまで経っても書き終わらないよね。
てかこんな長く書く必要なくない?読んでた人も途中で辞めるよね(笑
いいんです、これは書いて僕がストレス解消してるので(
ここからは「作り方」について。WordPress のサイトを作るときにテーマをどうしたらいいか、について。
ここまで書いてきてこんなことをここで書くのもなんだが、僕は別に WordPress の伝道師じゃないし WordPress マンセーなんて言う気はさらさらない。WordPress 業界(そんなものがあるなら)の回し者でもなんでもない。僕が全部正しいなんてあるわけがない。
状況に合わせて、WordPress を使うのが適切な場面で WordPress を使おうと思ってるし、WordPress が苦手なところもたくさん知ってる。
いま例えば「CMS」といったって Wix や STUDIO、webflow みたいな「ノーコード・ローコードツール」から microCMS とか、さらには大規模システム向けみたいなものまで選択肢はたくさんあって、別に WordPress じゃなくたって CMS を使って便利にサイトを作れるツールはたくさんある。あれがダメこれがダメだなんて言うのがおかしいんで、そんなのはどんな実装をするかどんな規模かどんな要件かで全く選択肢は変わる。そこが飛んでていきなり「WordPress が〜」とか Saas のサービスもなんもかんもごちゃ混ぜで言い出すから変なことになるんだ。
作るならちゃんと作ってちゃんと納品しようよってだけだ。
そして、作り方だって自由っちゃ自由だけど、それでお客さんが知らないまま損をしてるのは嫌だ、っていうだけだ。
それは結局作り手側も損をしているからだ。
いまの作り方に倣って作ればもっとラクをできるから。
さて。
クラシックテーマ+ブロックエディターで、オリジナルテーマを作るのが大変すぎるから〜という意見を見かけた。
それはそのとおりだと思う。
だから「WordPress でサイトを作るのは簡単じゃない」と書いた。
ここからは完全に僕の私見なので間違いや認識違いがあったら教えていただきたいと思うのだが、この「クラシックテーマ+ブロックエディターでオリジナルテーマを作る」作り方が一番難易度が高いんじゃないかと思っている。難易度、というのとは少し違うかもしれないが、「WordPress のお作法について詳しくないと作りにくい、作るのが大変だ」と思う。
「クラシックテーマ+クラシックエディター」についてはもう過去のものなのでいちいち解説しないが、これは前述したように「WordPress に寄り添った作り方」の斜め上を行く魔改造がまかり通っていたから「作りやすかった」と勘違いされているところが大きいだろうと思う。
それはまぁ置いておくが、この「斜め上を行く魔改造」の考え方のままブロックエディターで作ろうとするから『詰む』んじゃないかと思っている。
「WordPress に寄り添った作り方」とはなんぞやから始めるとまたひとつ記事が書けてしまうが、最低限の寄り添い方は(かなり乱暴なまとめ方だけど)ここまでのこの記事にだいたい書いてきたと思う。
さらに言うなら、ベタ書きしない・ブロックを使うように作っていたって、例えば小規模なサイトなら影響が出にくいが、大規模サイトになったら出てくるトラブルだってあれこれ考えられる。もうエンジニアじゃないと(エンジニアだとしても?)すぐにはわからないところ、「勘所」みたいなものも必要になってくる。
それを全部自分で作ろうとするのはもうそろそろ辞めていいんじゃなかろうか。
手軽にイチから「オリジナルテーマ」を作れるほど、WordPress は簡単じゃなくなっていると思うのだがどうだろう?もっと「ラク」をすればいいんじゃないだろうか。
どうするかは人によって考え方が違うと思うが、少なくともいまの僕の考えは「国内のプレミアムテーマをベースにカスタマイズする」だ。
Snow Monkey、SWELL などは特段カスタマイズしなくても十分かっこいいサイトが作れるが、そこをさらにカスタマイズしてデザインなり機能なりを追加していくのがいいと思っている。そうすれば、元々ベースの部分は「WordPress に寄り添った作り方」で作られているから、考えるべきところはカスタマイズとデザインに限られる。それだけでだいぶ負担は減らせるんじゃないだろうか。
ここで敢えてプレミアムテーマをベースにするデメリットを考えるとしたら
- 有料である
- 使わない機能もバンドルされている
ところあたりかもしれないが、有料だという点については「試用版」をまず試せばいいだろう。気に入ったら購入すればいい。仕事で使うならすぐにモトは取れるはずだ。
なんなら Lightning や Arkhe などなら公式テーマディレクトリから無料でダウンロードできるから、そちらをベースとして選んでもいいだろう。
「使わない機能もバンドルされている」については「痛し痒し」といったところで、サイトによってどんな機能を使うかは千差万別なので難しいところだ。便利な機能をあれこれ追加していったら「こっちのサイトでは必須の機能だけどここでは使わない」なんてことはあたりまえだし、あれこれプラグインを使わなくてもテーマだけで完結できるならその方がありがたい場面は多いだろう。
プレミアムテーマは公式ディレクトリに登録されているテーマより高機能なのが魅力だが、テーマ独自の機能が非常に豊富なのでそれに慣れてしまうとほかのテーマに移りづらくなる、なんてこともあるかもしれない。そこが「デメリット」と言えるかどうかはまた別で、そのテーマのスペシャリストになればいい、とも言える。
別にオリジナルでテーマを作ることを否定しているわけじゃない。ただ、ちゃんと WordPress のことを知って作ってますかってこと。
コードをテンプレートにベタ書きしてたり、enqueue 使わずに CSS や JavaScript を読み込んでたり、そのときは良くても後からトラブルのもとになることは避けておいたほうがいいだろう。ちゃんと動かないのが自分が作ったテーマのせいだったらイヤじゃない?
ティザーサイトでもあるまいし、そのテーマが次のリニューアルまでずっと使い続けられるように、ちゃんと拡張性を確保しておくのが正直な制作者なんじゃないの?
ただし。
いま例示したこれらはすべて「クラシックテーマ」のはなしであることをお忘れなく。
これからは「ブロックテーマ」に移行していくのだから。
なので、いまはまさに「WordPress のアップデートの途中」のような段階だ。それが僕が「一番難易度が高い」と思う所以でもある。
ブロックテーマはまだまだこれから開発が進んでいく。これからも仕様変更や機能追加が発生するところがあって、実案件で使うとなるとその仕様変更への追従も考えなくてはいけないだろう。
しかし、公式ドキュメントの情報はもうすでにたくさんあり、動画の情報などもどんどん提供されている。新しい環境がどんどん整いつつある事は知っておくべきだ、いま WordPress を使ってウェブ制作をしているなら。
この最新の環境とクラシックテーマでの環境、またメンテナンス対応としてのクラシックエディターなど、複数の環境が WordPress に存在していることが色々なことを難しくしているとは思う。それをデメリットとして捉えるとそこばっかり気になるだろうが、その理由は「後方互換」と「猶予期間」なのだから、その観点からはメリットでしかない。
そこを享受できる WordPress は、なかなかほかにはない素晴らしいプロダクトなんではないだろうか?だって、最新のバージョンの WordPress でサイトエディターもクラシックエディターも動いてるんだよ?それもテーマを切り替えるだけで。
もうひとつ。
令和の時代にあって、HTML で一度サイトを作ってから「WordPress のテーマにする」という手法はもう終わろう。
だって意味ないから。ただ手間がかかるだけだから。いまの状況に向いてないから。お客さんに倍の手間賃を請求するだけだから。
いま現在きれいな HTML でサイトが動いていて、そこから見た目を一切変えずに CMS 化したい、なんて案件はあるわけないよね?
だからそれってデザインを元にイチから HTML で組んで、それから WordPress のテーマにするってことだよね?
それがただの二度手間だってそろそろ気づいてもいいんじゃないのかな?
これも同じだ。
クライアントがそうやって作ってって言ったんじゃないよね?
あなたがそういう作り方しか知らないからそうやって作りますってクライアントに言ったんだよね?
それってつまりはただの「あなたの都合」だよね?
それでクライアントは意味のない出費を強いられてるんだよね、クライアントは詳しいことを知らないから。
クラシックエディターを使っていた頃はクラシックエディターの内部に書く HTML は任意の構造だったので、たしかにその意味では最初に HTML で書いてもよかった。それをループに置き換えて、というのは初心者の頃の僕にも確かにわかりやすかった。
だが、ブロックエディターのブロックは「HTML を出力するもの」だってわかってます?だからもし HTML から書くなら「ブロックが出力する HTML に合わせた HTML の構造で HTML のサイトを作って、それをブロックに置き換える」ことになるんですが、そうやって作ってます?そんなことないよね?そこまでわかってたら最初からブロックエディター使って作るよね?
だってただの手間じゃん、それ。
動的なループを出力するそのまんまの名前の「クエリーループブロック」って言うブロックがあることもご存知ない?
だから未だにベタ書きしてるんじゃないの?だからクラシックエディターがいいとか言ってるんじゃないの?
これに似たことは以前からあって、例えば「ベタ書き」のところで前述した「ナビゲーションメニュー」なんかはいい例だ。
WordPress の「メニュー」は WordPress の関数を使って WordPress から出力されるから、その HTML 構造は基本的に変わらない。そして WordPress が付与する任意のクラスがついたりする。だが、最初に HTML から作るときに WordPress が出力するナビゲーションの HTML に合わせて作っておかないと、結局ナビゲーションは作り直しになってしまう。だから HTML でつくったそのまま「ベタ書きしてた」んでしょ?
だから、ほんとはそうやって作っちゃいけなかったんだ、以前から。
WordPress が HTML を出力してくれるんだから、そこを自分で勝手に書き換えなければもっと最初からラクにできたんだ。
それを無視して作ってたからどんどん大変になっていったんでしょ?
だから、WordPress がダメなんじゃなくて、作る方が WordPress を知らなかっただけでしょ。
言ってんじゃん、「いまはブロック並べてくだけ」って。
ウェブに詳しくない人でもできるようにって作ってるんだから、それを制作者ができないわけないじゃん。そうやって作ったほうが便利だしラクだからブロックエディターになったんでしょ?確かにリリース当初はバグもあったかもだけど、リリースされてからいまはもう何年経ってると思ってるの?
ここ数年ブロックエディターで納品したことしかないけど、ブロックが原因のトラブルなんか皆無ですけど、なにか?
クライアントは「編集しやすい!」ってめっちゃ喜んでくれてますけど、なにか?
つい先日はクライアントがイチからかなり複雑な固定ページを自分で作って公開してメニューも追加してましたけど、なにか?
別にこのクライアントさんが特段ウェブに詳しいわけじゃないよ。全部社内で完結してくれたから、こちらは公開されてから「あ、作ったんだ!」って気づいたくらい。
それですらブロックテーマ+サイトエディターがリリースされて「最新じゃなくなった」こと知ってます?
知らないわけないよね、WordPress をインストールしたときのデフォルトテーマは Twenty Twenty Three(次の WordPress 6.4 では Twenty Twenty Four がバンドルされる)が有効化されてるんだから。
無理に WordPress 使う必要ないじゃん。自分がいいと思うツールを使えばいい。ツールを貶める必要だってまったくないじゃん。
ただ、僕はこれからの WordPress にも期待しているし、オープンソースだから機会さえあれば自分もコミットしたいと思っているし、WordPress が好きだからやってるだけだ。
なんでこんなにもくどいほど繰り返し書くかといえば、制作者たる自分もラクをしたいし、お客さんにも損をしてほしくないからだ。ちゃんと使ってない・知ろうとしてないやつに WordPress はダメとか言わせたくないからだ。それは制作者の怠慢だと気づかせたいからだ。知らないなら知ってほしいからだ。
僕はただ正直にやりたいだけ。
お客さんに対して正直でいたいだけ。
仲間に対して正直でいたいだけ。
自分に対して正直でいたいだけ。
自分がなにか変なやり方をしているならそれを直したいだけ。
自分が知らないことを知りたいだけ。
自分ができなかったことができるようになりたいだけ。
自分が書いたコードを誰かに見られたときに恥ずかしくないようにしたいだけ。
それを WordPress で実現したいだけ。
最後に
いやー長いよ、過去最長のチラ裏(笑
ここまでお付き合いくださった方は本当にありがとう。
伝わったかどうかは甚だ疑問だけれど、なにかの一助になれば。
先日、将棋の藤井聡太竜王・名人が前人未到の「八冠独占」を達成した。
これで、負けてしまった永瀬王座はもう将棋を打たないだろうか?
いや、「次はきっと」「次は勝ってやる」と思うだろう。
自分よりすごい人は世の中にゴマンといる、と書いた。本当にそうだ。
でも、それで諦めるの?自分の可能性はもうないの?
そんなのやってみなきゃわかんないじゃん。
やってないうちから「絶対無理」って諦めるの?
世の中には到底敵わない人はいるけど、でもじゃあ自分はその人より勝ってるところはひとつもないの?
それを見つければいいだけなんじゃないの?
どの世界だって自分よりすごい人はたくさんいるけど、自分の人生を送ってるのは自分だけでしょ?
自分の人生で自分以上に自分の人生を送れる人がいるわけないじゃん。
だったら正直になろうよ、自分の人生なんだから。